#私の挑戦史

自らの挑戦を通じて確信した応援・支援の大切さ。

安藤達也。九州・沖縄部隊のリーダーを務めながら、普段は九州大学で学術研究員として化学研究に従事。インタビューを通じて明らかとなったのは、普段の振る舞いからはあまり想像のつかない、研究と挑戦に対する並々ならぬ想いの強さでした。研究とWEIN隊という全く別のアプローチの仕方でwell-beingな社会に向け邁進する安藤さんの原動力や核心について迫るべく、WEIN隊全体サポートの櫻井恵(さくらい めぐみ)、中川友希(なかがわ ゆうき)、学生部隊副リーダーの石田慎一(いしだ しんいち)が取材に臨みました。

2020.08.28
自らの挑戦を通じて確信した応援・支援の大切さ。

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Profile

安藤達也(あんどう たつや)

出身地:鳥取県八頭町

学歴:九州大学大学院工学部 博士(工学)

趣味:スポーツ観戦(特に陸上、マラソン)、食べ歩き

特技:陸上選手の名前と記録を覚えること

活動:九州大学大学院で化学を専門として博士号を取得
   新卒で総合化学メーカーJNC株式会社に入社し、R&Dと顧客対応を担当
   アカデミアに転身し、九州大学で学術研究員として燃料電池などの基礎研究を行う

自己と向き合い続け見つけ出した自分だけの道

こんにちは、今日はよろしくお願いします。早速ですが、安藤さんの生い立ちからお話しいただけますでしょうか。コミュニティリーダーの中で一番ミステリアスな安藤さんのお話は興味深いです!

幼少期は鳥取県の八頭町という山に囲まれた田舎街で育ち、19歳までそこで過ごしました。大学入学と同時に地元を離れることになりますが、それまでの人生において印象に残っている出来事は主に二つです。

一つはコンプレックスとの闘いです。14歳くらいの頃、突然身長が伸びなくなってしまう病気にかかり、思春期になっても自分だけ身長が伸びなかったことをコンプレックスに感じていました。その時の僕は自分のそのコンプレックスを跳ね除けたくて、他の部分で長所をつけようと陸上の長距離走に明け暮れました。最終的に足を怪我してしまい、満足のいく結果を出すことはできませんでしたが、一つのものにコミットする経験はそこで得ることができたと思っています。

そして、もう一つが現職に繋がる「化学」との出会いです。1年間の浪人生活が僕の人生の転機で、受験を通して化学に出会えたこと、自分で設定した「九州大学に合格する」という目標に到達すべく勉強に勤しんだこと、そして、その目標を実際に成し遂げたことを通じてそれまで停滞していた自己肯定感を高め、確たる自信も身につけることができました。

〜安藤さんの生まれ育った八頭町〜

一度離れることで再び確信した自分の道

コンプレックスや劣等感から逃げることなく向き合い続け、最終的に長所や自己肯定感にたどり着くことができたというわけですね。ところで大学では博士号を取得されたそうですが、今度は大学での活動について詳しく教えていただきたいです。

はい。 いきなり話は大学4年生の頃に飛び移ってしまうのですが、4年生になって化学、特に環境・エネルギー関連研究室に配属され、主に化学反応を促進する「触媒」と呼ばれる化合物の開発に取り組むことになりました。応用としては、燃料電池などがあります。自分でデザインした、世界で自分一人しか知らない化合物を作り、そのオリジナルの化合物の分子レベルの情報を様々な分析方法で調べるという作業が非常に魅力的で、触媒の研究に没頭しました。配属当初は優秀な人が周りに多く、劣等感を感じることもありましたが、修士2年の時に初めて自分の研究で論文を発表することができ、その一連の活動を通じて研究の奥深さを体感し、研究が好きになり、現在までおよそ9年ほど研究活動を続けています。

9年間、「研究」という一つのものに熱中し、博士課程を取得するという成果を上げるまで努力し続けられたことはとても素晴らしいです!その後、いったん研究活動を離れ、社会人としての生活を送られたようですが、そのことについてお話しいただけますか?

はい!総合化学メーカーのJNC株式会社という会社に就職し、スマホ等のディスプレイ材料を作っていました。気心知れた社員の方々と働きやすい労働環境のおかげで、気持ちよく仕事に取り組むことができていました。研究成果が受け手の福利に直結しやすい応用研究に関しては元々やってみたいと思っていたので、会社で取り組んでいた仕事についての満足度は高かったです。しかし、一方で会社勤めの生活が、よりインパクトの大きい材料開発のためには基礎研究がやはり重要であるという真理を僕に再認識させることにもなりました。そして、会社の仕事内容に対して物足りなさを感じるようになり、再度研究職に就きたいと思うようになりました。

〜メーカー時代の同僚と安藤さん〜

自分の道を確固たるものとしてくれた二つの支援

「物足りない」という想いに火が点いてこそ、再び研究職に就いた安藤さんが今ここにいらっしゃるわけですが、物足りなさ以外にも安藤さんの決断を大きく後押しした出来事があるようで。

はい、僕の背中を押してくれた出来事は主に二つあります。

一つは、卒業後に僕の研究を引き継いでくれた大学の後輩が書き上げた論文が高い評価を受けたことです。当然僕ではなく、その後輩の功績ですが、自分のことのように嬉しく感じましたし。そして、「僕と彼の挑戦」が実を結んだその瞬間、己の研究者としての想いが再燃したんです。会社で扱っていた材料は数年程度で更新されていくものも多々ありますが、論文は優れていれば執筆者である人間がこの世を去った後も永遠に世の中に残ります。このことの価値を改めて実感しました!

もう一つは、最も信頼している教授と准教授が僕の背中を押してくださったことです。アカデミアの世界が厳しく、険しいものであることは百も承知だったので、彼らに相談した時は当然「やめた方が良い」と言われると思っていたのですが、返ってきた答えは真逆で「やってみたらいいんじゃないか」と前向きな意見をしてくださったんです。

僕の研究を引き継いだ後輩の研究が評価されたこと、そして、恩師お二方からの後押しの一言で僕は大学院に戻り、学術研究員として研究活動を続けることができています。

なるほど。自らの決断を後押しした二つの大きな支援の存在に気づき、すかさず感謝の念を抱く安藤さんのお人柄もさすがと言うべきです。その後はどのような活動をされてきたのでしょうか。

充実した研究活動を続けていましたが、新型コロナウイルスの拡大が僕達の活動をせき止めました。緊急事態宣言が発令され、生徒さんだけでなく僕たちも大学に行けなくなってしまい、思うように研究ができませんでした。僕たちの研究は、薬品を使う実験など、専用の研究室でなければ実施不可能なものばかりなので思うように研究を進めることは困難です。実験系研究者からすれば、テレワークなど拷問のようなものです。

僕は立ち止まらざるを得ませんでした。

そんな中、溝口さんのTwitterでWEIN隊の情報を見つけ、すぐさま応募しました。「挑戦・支援・応援」を通じて21世紀の課題である「孤独・退屈・不安」を解決するというWEINのビジョンに素直に共感しました。研究界隈でもSDGs等の重要性が叫ばれるているように、社会課題解決型の研究を重視する風潮は強くなっていると感じます。元々、自身の研究も社会課題解決に貢献できればと思っていましたし、社会課題解決を最先端で行なっている環境で様々な知識や経験を得たいと思いました。

その後、九州・沖縄部隊リーダーにも立候補し、選んでいただきました。

WEIN隊には本当に優秀な方が集まっていると感じます。そうした優秀なメンバーの挑戦の応援・支援を率先して担う役割があるのならば、素直に自分がその役割を担いたいと思ったんです。

リーダーとして九州・沖縄部隊を創り上げていくにあたっては、応援・支援を軸に盛り上げていければと考えています。先ほども話した通り、僕がアカデミアの世界で再び挑戦することができた背景には後輩や教授、准教授のお二人の大きな後押しがあったからです。自分が何かに挑戦しようとする時、その選択を応援・支援してくれる存在は何よりも心強いです。

九州・沖縄部隊ではそれぞれがそれぞれの挑戦を応援し合えるコミュニティにしたいと思っています。そのためにはまず九州・沖縄部隊にどのようなメンバーがいて、どのような挑戦をしているかを知ってもらう必要があると思っています。知らない人を応援することは無理がありますから。この「#私の挑戦史」を通じても、九州・沖縄部隊メンバーの多種多様な挑戦や活動を積極的に発信していければと考えています。

研究×WEIN隊で、well-beingな社会を作り上げる

なるほど。私も九州・沖縄部隊メンバーがどんな挑戦をしているのかについては是非注目しておきます。では、最後に安藤さんご自身のこれからの挑戦について詳しく聞かせてください。

研究を通じて社会課題を解決したいです。例えば、研究とサービスをかけあわせてwell-beingな社会を作り上げるとか。日本の研究開発では質の良い製品を作ることが最重要という考えが一部ではあるかもしれませんが、実際には製品のアフターフォローなどの部分がとても重要で、研究開発された製品はサービスと抱き合わせで売っていくことが大事だということに会社勤めの時に気づきました。モノにもサービスというwell-being要素を掛け合わせて、プロジェクト開始時からサービスを念頭に置いた日本発の製品・材料開発に取り組みたいです! 

また、社会課題解決に目が向いた基礎研究者を支援できるようなサービスやシステムづくりにも取り組みたいです。 

研究の成果はビジネスに結びつきます。研究者と企業の間の障壁をなくせば、よりWell-beingな世界を築けるはずです。社会的影響力をもって21世紀の課題解決に取り組むWEINと研究者は実は親和性が高いと思っています。笑 
ただ、まだ研究者の界隈ではWEINの存在がほとんど浸透していません。でも、僕がWEIN隊の九州部隊のリーダーになり、TwitterでWEIN隊について頻繁に発信するようになったら、信頼している准教授がフォローしてくださりました。その先生は元々社会課題に関心のある方だったというのもありますが、WEIN隊自体にもすごく興味を寄せてくれています。だから、潜在的にWEIN隊に興味を抱いてくれる研究者がもっと他にもたくさんいると思います。

なるほど!それはそうと、研究者こそ孤独・退屈・不安と闘いながら日々の研究に励まれている印象があります。

いや、まさにそうです。

今の日本の大学の状態こそが社会課題の一つであり、孤独・退屈・不安を抱えている研究者は少なくないと思います。WEIN隊を通じてその辺りにもアプローチできればいいなと思っています。研究に挑戦する人同士の繋がりや関わりを増やし、研究者の抱える孤独や退屈、不安を解消する一助を担うことができればと考えています。

 また、将来的には、次世代の研究を担う学生たちに対して、研究者という職業が社会課題の解決にいかに貢献できるか、いかに夢のある職業であるかということを伝え、研究活動に挑戦する人の数を増やしていきたいです。

研究者×WEIN隊、すごく面白い観点だと思います。お話を聞いているうちにこちらもワクワクしてきました。最後にメッセージをお願いします!

WEIN隊には挑戦をしたいと想う気持ちを持つ人がたくさん集まっていて、すごくいいと思います。だからこそ、僕はそれと同じくらいか、それ以上の熱量で皆さんの挑戦を応援・支援していきたいと思っています。応援・支援はされる側だけでなく、する側にもたくさんのメリットがあるからです。

一つの社会課題を取り上げる時、それはとても複雑な構造をしています。一つの側面を解決したところで、その課題自体が解決されることはほとんどありません。他のあらゆる側面について考えなくてはいけません。周りの人を応援・支援するということは、自分が解決を目指す課題の見えていない他の側面を捉える助けになるという意味で、自分の挑戦にも返ってくる。なので、ぜひ一緒に自分以外の他のメンバーの挑戦を応援・支援していきましょう!

編集後記

安藤さんもインタビュー中におっしゃっていたが、研究者はどこか固くて近寄りがたく、自分とは無縁な職業だと思っていました。けれど、研究者も社会課題を解決しようと日々知見を貯めて研究を重ねていることが取材を通じて痛いほどよく分かりました。研究職とビジネスに壁を作らず、社会課題の解決に向けて互いが同じ方向を向いていけば、世界はもっとよりよくなると思いました。安藤さんをはじめとする研究者の挑戦を応援したいです。

WEIN隊全体サポート 櫻井恵

安藤さんは研究者、私は院生ということで私にとっては親しみのある先輩ですが、一般的には近寄りがたいのが研究者という役職なのかもしれません。しかし、今回の安藤さんへの取材を通しても明らかとなったように、ひとえに研究者と言っても多種多様なバックグラウンドや生き方をしている方々がいらっしゃいます。この記事を通してそういったことにい関して皆さんと共有できれば嬉しいです。

WEIN隊全体サポート 中川友希

安藤さんは、研究者でありながらも挑戦者であり、そんな姿に心打たれました。WEINの理念である、well-beingや社会課題解決にアカデミックな観点から向き合っていて、これからもずっと応援したい!と心から思えた。
そんな安藤さん率いる九州・沖縄コミュニティの発展間違いなしですね。

WEIN隊学生部隊副リーダー 石田慎一